ぼっちな彼女と色魔な幽霊

鼓動なんかやっぱりしない、心臓の温度なんか感じられるわけがない。

それなのに、なぜかヨウが言うようにあったかいものがある気がした。

「なんか、そんな気がするね?」

また涙が出そうになる。ぐっと奥歯を噛んで堪えて笑った。

たぶん、いつもよりも不細工。

ヨウはわたしの顔をまじまじと見つめる。

「……なっ……何?」

ぎゅっとわたしの鼻先を指でつまむと

「我慢すんなよ。らしくねーな。つうかお前は何しても恥ずかしいんだから、思ったとおりにすればいんだよ」

と、偉そうに言った。

「ちょっと何すんのよ?痛いんだけど!」

「生きてる証拠だろ」

「……それは、そうだけどさぁ」

< 292 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop