ぼっちな彼女と色魔な幽霊

彼の後を追った。

「ヨウちょっと待って」と、腕を掴んで引き止めた。

「なに?気安く触んなよ」

腕を払い、わたしを睨んだ。

「なんなのお前、頭おかしいの?」

「冗談長いから。
何忘れた振りしてんの?ひな子だよ、ヨウ。いい加減にしてくれる?」

「はっ?
なに?
ひな子なんか知らないし」

「何言ってんの?眠っている間、家に来てたじゃん。魂だけ!幽霊だからって偉そうにしてたじゃん!」

「なにしたいか知らねーけど、そういう人の弱いとこつけこんで恩でも着せたいの?……消えろ」

「……」

三度目のトライはさすがにできなかった。

だって……。

正真正銘、あの人、わたしのこと忘れている。

……忘れている。
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