ぼっちな彼女と色魔な幽霊




放課後の図書準備室。

今日は二嶋くんが陸上部に顔を出すから、三人だけで広報誌の記事について話しあい……のはずだった。

「なんかお昼戻ってきてから、おかしいけどどうしたの?」と、才伽ちゃんがわたしの表情の浮かなさに驚いて、訊いた。

「いや。なんというか……ディズニーランドに行く予定だったのに、知らない内に廃業になっていて、だけど諦めきれずにランドを外から見るけどすごい荒れ果てていて、それでもやっぱりやってるんじゃないかなーミッキーがいるんじゃないかなーって気がして、ひたすら眺め続けてる感じ」

「なにそれ?例え長っ。つうかよくわかんないんだけど」

「……あると思っていたことがないって、なんか辛いね」と、作業机に突っ伏す。

「秀一、ちょっとこの子、どうにかして」

「つまみ出せ」

ふっと神頼みできる存在に気づく。

「秀一くん!」

「急に下の名前で呼ぶな。馴れ馴れしい」
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