ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「領くん復帰したよね?」

シカトされたけど続けた。

「なんか変わったこと言ってた? 眠っている間、こんな夢見たとか変な体験したとか」

「なんも」

ですよね。覚えているわけがない。

「あ……でも」と言いかけ、「いや関係ない話だ」と目をそらした。

「なんでもいいので教えてください」

「………」

「あっ。聞こえないふりした聞こえないふりした。才伽ちゃん」

「秀一、今日この子こんな感じで一日終わりそうだから、せめて今言いかけたことだけ教えてやってよ」

才伽ちゃんが呆れたような顔で味方になると、諦めたような溜め息を吐いた。

「……眠っている間、なんだかんだ俺のこと支えてくれたの元カノだからヨリ戻そうか考えてるようなこと言われた」

「……」

なんで?

あれ?

なんで?

眠っている間、一緒にいたのは、わたしなのに。

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