ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「ちょっと大丈夫?」
才伽ちゃんがわたしを心配そうな顔で見た。
「なんで泣いてんのよ?」
「ああ。嘘。ごめん」と拭った。
「もしかして葛西のことでなんかあったの?」
「ああうん……なんというか……なんて説明したらいいというか……」
「夢枕に領が立ったらしいよ」と小馬鹿にした口調で遠矢くんが言うと、「なにそれ?」と才伽ちゃんは信じられないような半信半疑な表情でわたしを見た。
うん。
説明しても信じてもらえないに決まっているし、問題はもうそこじゃないような気もする。
結論はでている。ヨウはもうわたしといた日々というか、わたしの存在さえ覚えていない。
だから気安く話しかけても、話をしてもらえることなんかないし。
というか今日の接触の中で、わたしはもう危険人物に設定されてしまっているかもしれないし。
ライバルがあの可愛すぎる花愛先輩っていう……どうにもこうにも勝算なしだ。
いいたとえ話が浮かんだ。
これは、人魚姫だ。
って、大喜利で座布団もらったって嬉しかない。