ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「誰だよ。イケメンは可愛くない子と付き合うって言ったのは」

美少女すぎじゃないか!

俺は面食いですって言ってるようなもんじゃないか!

家に帰り、鞄を乱暴にベッドに置いた。

そこに座って笑っているヨウの姿や、後ろから触れた冷たい指先や、熱がでたときに抱きしめてくれたこと、おにぎりをおいしそうに食べてくれたこと……。

楽しすぎた思い出ばかりよみがえってくる。

ベッドに背中をもたれて座った。天井を仰ぎ見た。こうしたら、ヨウが上にいて、目があう。なんてことなく、いつも通りの白い天井。

涙がこぼれる。上を見てこぼれる。

なんだよ、ヨウのばか。ヨウのばか。ヨウのばか。

わたし最大級に落ち込んでるよ。ヨウと間違ったさよならしたときより、落ち込んでるよ。

『呼べよ、俺とか』

言ったじゃん。冗談だったけど、言ったじゃん。言ったじゃん。言ったのにさ。

勝手だよ。呼んだら来るようになってるんでしょ。

なんで、なんで現れないんだよ。

勝手だよ。勝手に忘れて勝手にわたしを嫌いにならないでよ。
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