ぼっちな彼女と色魔な幽霊

才伽ちゃんからちょっと教えてもらった。ヨウのこと。

性格は、クールらしい。

クール?どこがだ。いつもわたしをバカにして笑って、おにぎり握れとか命令するくらい幼いくせに、たまになんだか優しいことだってしてくれる。簡単にキスとかしちゃうくらい軽いじゃん。

なんで違うのかな?

なんでかな?

魂だったからかな?

名前もないヨウの魂に触れていたからかな。

じゃあ本当のあいつを、みんなの知らないあいつを、わたし知っているんだ。

それってすごいんじゃない。

だってきっと花愛先輩だって触れたことないはずだよ。

すごいすごいすごい。本当のヨウに触れて、笑って、怒って、彼の心をわたしは少し動かすことができた。

それだけでもう満足。満足満足だ。

思い出だけで、生きてみることにしよう。

あの人は、葛西領であって、わたしの好きなヨウはもういないのだから。

成仏してしまったんだ。
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