ぼっちな彼女と色魔な幽霊




放課後の図書準備室。

才伽ちゃんは、イヤホンを耳に入れながら作業机に突っ伏して眠っている。

「おい。あれ追い出してくれ」と遠矢くんが言った。

「えっ?どれ?」とわたしが答えると、「お前のことだ」と遠矢くん。

「ここ来てから溜息ばっかついてんじゃねーよ。魂ぬけるぞ」

「魂ぬけるのか……ヨウも溜息いっぱいつかないかな……そしたらまた魂に戻って……わたしのこと思い出して……そして二人は」

「大丈夫?」と訊いてきたのは、二嶋くんだった。

「あっ。大丈夫です。正気の沙汰です」

「なんで急に敬語なの?」と笑う。

「こいつこの前からこうなんだよ。領がどうのこうのとか言ってさ」

「そうなんです」

……って、二嶋くんそういえばヨウと仲直りしたのかな。喧嘩の理由はちゃんと知らないけど。

「似た者同士だな」と遠矢くんは、呟いた。

「えっ?」と二嶋くんと声が揃う。

「領と仲良くしたいのにできないふたり」と、出て行った。
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