ぼっちな彼女と色魔な幽霊

ぎゅっと手を繋いだ。

「なんで勿体無い？」

「一秒でも多くヨウが見たい。それに、もうサヨナラは嫌だから、ヨウにもわたしの顔を覚えてほしい。だから、ちゃんと見てよぉっ」

鼻がグズグズして、うまく話せない。

「やっぱりきもい」

「……好き？」

わたしは訊いた。

「好きじゃねーよ。ふっざけんな」

ヨウは怒った。

「手、離せないのに？」

わたしが、そう言うと黙った。

「へへへ」

「つうか俺、彼女いるから」

「知ってる」

「全然お前タイプじゃねーし」

「知ってる」

「きもいし意味わかんねーし、俺が幽霊になって会いに来たとか言うくらい頭おかしいし」

「知ってる」

「なのに……なんかすごくお前に会いたかった気がした」

呟いた。すごくすごく愛おしいと思った。

こんな気持ちを感じられるわたしは、生きているだけで、本当はすごく幸せなんだろう。