ぼっちな彼女と色魔な幽霊
いつもの場所にふたりで座る。
「お前は、名前なんつうの?」
「西宮ひな子です」
「ひな子ね」
「ヨウのことクマになんて見えないからね」
「見えようがねーだろ。つうか……なんか腹減った」
「ツナマヨのおにぎりはあげないからね」
「お前さ、俺に逆らえると思ってんの?」
「なんで記憶ないくせにそういうところは偉そうなのよ」
「……なんでまた泣くんだよ」
「だってだって……その反応があの頃みたいで、涙なしでは語れない……って、あっ、勝手に食べてる」
「……」
「美味しい?」
「まあまあだな」
「ちょっと科白違くない? そこは『うまっ』って微笑んで、わたしは胸がキュンと鳴って、そして二人は……」
「ああ……うるせー女だなぁ」
ヨウの間延びした声、わたしの頭をくしゃくしゃに撫でた手。
今はアンバランスでもいいよ。
だって愛しさはきっと心の奥で眠っていても、こうやってまた触れられるんだ。
少しずつ少しずつ形を変えて、見失いそうになっても。
わたしたちは、いつも幸せだと思い出せるように。
孤独を感じても、気持ちが行き違って悲しくても、それでも世界はここにある。
愛は、世界を嫌わないように、わたしの中にも彼の中にもちゃんとあって、いつも優しく寄り添っているんだ。
be happy and smile!!