ぼっちな彼女と色魔な幽霊

見ると、二嶋くんだった。

カッと顔が赤くなり恥ずかしくなる。

ニコニコとした笑顔で悪気のない感じだけど、わたしがわかっていて否定しなかったことを他人に指摘されると恥ずかしくなる。

そんなことも言えない人なんだって、言われてる気がするから。

「わっ。ごめん」と声をかけてくれた男の子は申し訳なさそうに謝ってくれた。

そっとしておいてほしかったのにって、思っていると「俺もすっげー間違えられんだよね。ミシマとかニジマとかさ。名前、ちゃんと覚えてもらったほうがいいよね」と、他意のない笑顔を向けた。

二嶋くんは、なんというか柔らかいブランケットを持ち歩いてる男の子のように思える。

こういうことを人に押し付けない感じでさらりと肩や足にでもかけてあげるかのように言ってのけてしまうからだ。

だけどわたしは、押しつけられていないのに、ブランケットを頭から覆い被されたような息苦しさを感じてしまうんだ。

かけられたのは、肩や足やわたしの呼吸を乱さないそんな場所だと頭ではわかっているのに。
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