ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「才伽」
遠矢くんが呼ぶ。
「しおり考えた?」
「はぁ?そこまで手出してないし。まだ自分の紹介文考えてるところ。てか本読み直そうかなー」
「取り掛かるのいつもぎりぎりになるんだから、早めに決めとけよ」
「うっさいな。わかってるよ」
「お前がやるって言ったんだろ」と、睨んでいる。
なのに才伽ちゃんは気にする様子もなくマイペースにイラストを書き続けている。
やはりすごい。あの眼光を気にしないなんて。
「しおりって何?」
訊くと、「読書週間あるんだけど、借りてくれた人にしおりをプレゼントすることになってさ。
どんなの作るか考えなきゃいけないんだけど、まだ全然手をつけてないんだわ」と、答えた。
ふとそこで中学生のときに、図書委員をしていたことを思い出した。
「しおり作りか。懐かしいな」
「ん?」
「中学のとき図書委員で、作ったことあったから」
才伽ちゃんは、へぇと相槌をうつ。
少しして「……できた」と、見せたのは、 遠矢くんのマスコットみたいな似顔絵。
「遠矢くん?」
「あっ。わかるー?わたし、本よりイラストのほうが好きだわ」
「すごいね。特徴掴むのうまい」
感心していると、「二嶋」と、次々見せてくれた。
「広報誌にみんなの紹介文と一緒にのってたら可愛いね」
そういうと才伽ちゃんは、顔をあげた。