ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「……それいいかも。秀一!ちょっと見てよ!」と、遠矢くんのほうへ行ってしまった。
そういう二嶋くんは、紹介文の原案を頭を悩ませながら書いているようだった。
頭を手でがしがしとかいて、難しい顔。たぶんきっと苦手なんだろうな。
……邪魔だな、わたし。
馴染みきれない空気に気がついて、立ち上がる。
「じゃあ帰るね」
そう言うと「嘘。帰るの?」と才伽ちゃんが振り返る。
「うん」
「また遊びにきてよ。女子いなくて寂しいからさ」
「よく言うよ。お前は女子いなくても平気なくせに」と言った遠矢くんの頭を軽く叩いた。
「つうかさ、西宮さん図書委員入んない?」
帰り際に才伽ちゃんはそう言ったけど、うんとも言えず、笑ってごまかした。