ぼっちな彼女と色魔な幽霊

思い出すのは、中学の初恋みたいな憧れ。

彼はサッカー部で絵に描いたような爽やかな人だった。

告白とかしてる女の子もいたみたいだったけど、振られるのなんて目に見えてるし。身の程知ってた。

だけど一度だけ、中総体が近くなったあの日わたしはでしゃばった真似をした。

頑張ってくださいのメッセージカードをつけたミサンガを彼の下駄箱の中にいれた。

彼に似合いそうな色を選んで作ったし、上手く編み込めて自信作だった。

勿論、名前は伏せた。

受け取ったかどうかわからないまま数日ドキドキしてたけど、盗み見るように彼の腕を意識していたけど、そこにはわたしのミサンガはつけられることはなかった。

それからまた数日経って、彼の腕にミサンガがついてた。

同じ学年の可愛い子からもらったものだというのは、廊下で話しているのを聞いて、知った。

どこ行っちゃったのかな。わたしのミサンガ。

自分のお気に入りが、誰かに蔑ろにされるのってやっぱり恐い。
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