ぼっちな彼女と色魔な幽霊

ママにご飯と声をかけられるまで気がつかず夢中で作業してしまった。

夕食を終え、おにぎりでも握るかとキッチンへ行き気がついた。

ツナ缶ない。たらこもない。鮭もない。

悪態をつくヨウの姿が思い浮かんだ。

しょーがない。買いに行くかと、少し暗くなってきたけど歩いて家を出た。

スーパーまでは5分くらいだし。

それにしても明日は学校か。

日曜日はいつも気持ちが重くなる。

だけど、金曜日の放課後はちょっと楽しかったなと思い返すとほんの少しだけど明るい気持ちにもなれた。

図書準備室の三人の雰囲気が良かったのかな。なんでも言い合える空間、わたしにはないから憧れる。

あの中に入れたら、わたしも楽しくなるのかな。

『図書委員会、入らない?』

なんで誘ってくれたんだろ。

図書委員やったことあるって言ったし、人足りないからかな。

まあ中学のときに少しやっていたけど、仕事内容は嫌いじゃなかったし。

本の匂いに囲まれるだけで幸せな気分にもなれるし。

……二嶋くんとも、仲良くなれるかな。

よこしまな気持ちがあることにはある。
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