ぼっちな彼女と色魔な幽霊




昼休みの終わり際、「今日、バイトあるから早めに帰るわ」と才伽ちゃんが二嶋くんに言っていたのは、この委員会のことだったみたいで、わたしが行った頃には姿はなかった。

ひとりで大変そうだな。

本棚の下に目をやると、本がたくさん入ったボックスが置いてある。

けっこうな量。きっと棚に戻す分なんだろう。これをひとりでやるなんて、大変な時間がかかるに決まっている。

あたりを見渡すと誰もいなくて、カウンターや閲覧席からは、死角になっている。

少しだけ返すの手伝おうかな。時間あるし……と、本を取っておさめる場所を探した。

いちばん上か。背伸びすれば入るかなと、伸びをする。

……届かない。

もう少しと、もう一度背伸びをする。本の底がいちばん上の棚の底にすっとつく。指であとは押してあげれば入りそう。

入ったと思ったと同時に、足の力が抜けてよろけてしまった。

左腕に抱えていた本がするっと逃げて、床に音を立てて到着。

げっ。なに器用なことしてるの、わたし。

「……って」と、男の子の声がしてはっとした。
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