ほんとは優しい私のオオカミ ②
私が今ほしいのは、翔。
翔のあの大きくて優しい腕のなかに戻りたい。
向かい合わせで私の斜め前の座席では八雲が私を鋭くにらんでいた。
この感じ...。居心地悪いな。あの時はこれが当然だったけれど黒狼メンバーとの時間を知った今、苦痛でしかなかった。
零がぐいっと優しい手つきではあるが半強引に私を抱き寄せる。
これもいまの私には苦痛でしかない。
それでも逆らうわけにはいかない。零の怖さは十分すぎるほど知っている。
零は私以外、目に入らない。私以外の人間に危害が出たとしても何も思わないし感じない。
私のことで被害が出るのは避けたい。