ほんとは優しい私のオオカミ ②
瑠奈「まさか…」
震える足を何とか動かし、次の牢屋、また次と見ていくと、何人か見知った死体もあった。
瑠奈「せ、、せんせい…」
あの家庭教師をしてくれていた先生も既に白骨化していたがあの日身につけていた服が血の後を残し牢屋の中にあった。
何個もそういった牢屋がある。
何度も何度も零はこんな事を続けていたの?
「うぅ…」
呻き声が聞こえドクッと心臓が大きく跳ねた。
瑠奈「どこにいるの?!」
まだ生きてる人がいる?
急いで当たりの牢屋を確認する。
違う…ここも違う…。
「ぅう…」
ここだ!!!
瑠奈「だ、誰なの…っ!?」
その姿を目に捉えた途端ドクドクと心臓が脈打った。
その人物は両手両足を鎖で繋がれ、ありえない方向を向き身体は何度も切りつけられた跡があった。死なないギリギリまで痛めつけ生かされている様だった。
私はその人物をよく知っていた。
瑠奈「…あ…愛染のおじ様!おじ様なのですか!」
愛染家当主、零の実の父親だった。
どうしておかしいと思わなかったのだろう…私が3年間愛染に住んでいたのに、おじ様の姿は1度も見かけたことは無かった。