ほんとは優しい私のオオカミ ②



胸が引き裂かれそうなくらい痛い。



零「僕が君を…手に入れようとする度、君の心が離れていった…っ…本当はわかってたんだ」



わかりたくなかった。



零「こんなに、こんなに想っているのにっ…どうして他の人を見るの…っ」



嗚咽と叫びに近い声に、うっすら瑠奈が目を開けて呟いた。



瑠奈「…翔」



その名を聞いた瞬間、涙は止まり暖かかった心が急激に冷えるのを感じた。



零「…」



瑠奈はまた目を閉じた。



零「…父さえも殺した…僕にはもう何も無い…君しかいない…瑠奈…君だけは離さない」



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