ほんとは優しい私のオオカミ ②
八雲「どうでしょうね。…そもそも、私はあの人が嫌いです。のちのち組の空気が乱れますし、あなたの判断力が鈍ってはいけませんから」
相変わらずの反応でニコリと僕は笑いかける。
「ふふっ。八雲は絶対あの子を好きにならないから安心だよ、あぁ、そうだ。あれを貸してよ」
八雲はまた眉間にしわを寄せて僕にそのものを渡す。
「ありがとう八雲」
受け取ったのは、京都で買った猫用の細い首輪。
白い首輪で蝶々の柄入、真ん中には小さな鈴がついている。
これをつけている彼女の姿を思い浮かべ嬉しそうに笑う。
「彼女は首が細いから猫用の首輪にしたんだ。ねぇ。見て八雲。柄は蝶々の柄でね、鈴がついているんだよ。どこにいてもわかるように鈴付きにしたんだ。きっと白い彼女に良く似合う」
八雲はますます嫌そうな顔をする。