ほんとは優しい私のオオカミ ②
涙なんてもう忘れていた。
「どうしたの?」
突然、声をかけられた。
瑠奈「だ、だれ!?」
振り返ると、人懐っこそうな顔の男。
「俺、最近、藍染に入ったんだ。迷っちゃって。あなたがここのお嬢様?」
少しの安らぎが出来た。
彼の名前は、春。
ほんとうに春の暖かさみたいな人で、いつも面白い話を聞かせてくれる。
藍染での私の唯一の友達。
ぜんぜんヤクザっぽくなくて、ほんとうに春がいたからまだ正気を保てていたのかもしれない。