ほんとは優しい私のオオカミ ②
そして、その日はやってきた。
零は数か月にわたって京都のほうに用事で行くそうだ。
零「瑠奈。寂しいだろうけれど行ってくるね」
零が大勢の人を連れて家を出ていった。
それから何時間かしたあと、春が私の部屋の方にやってきた。
春「お嬢様ー。裏口の方誰もいなかった。今がチャンスだ。」
瑠奈「うん。ありがとう。春。私、外の世界を見に行くよ。」
春が、お別れだなと言って寂しく笑った。
私はさっそく裏口の方に行く。
ほんとだ…。見張りが誰もいない。
通ろうとした時…
びぃぃぃぃぃぃぃっっっっ
けたたましいサイレンが屋敷中に響いた。
すぐにバタバタと足音が寄ってくる。
逃げなきゃっ。
瑠奈!お嬢様!!!逃げて……っ。
遠くで最後に春の声が聞こえた気がした。