あなたの胸で泣かせて
秀敏が抱き締めてくれたときから、智代は自分の気持ちに気がついていた。

素直にうれしいと思ったから、
そして秀敏の香りが智代にとってはとっても心地の良いものだったから。


少し近付けた気がした。

実はその日私は
「ねぇねぇ秀敏のこと、としくんって呼んでも良い??

みんなヒデって呼んでるでしょ?
だからみんなと違う呼び名で呼んでみようかなぁなんて思って」

私意外に独占欲があるのかもしれないと思った時だった。
でもとしくんは快く良いよって言ってくれた。

そんな智代を可愛いと思ってるなんて思ってもいなかった。


その日智代は少し明るい気持ちになった。


ひさしぶりに見た空は心のモヤモヤが取れたように
綺麗な夕焼けだった。
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