あなたの胸で泣かせて

「お腹すいてきたね、お昼ご飯何食べよっか」と言われ、

思い浮かばなかった私たちは結局ドーナツを食べることになった。

普段から割とよく食べる私だったが、あまり食べすぎる女の子って引かれるのかな?と経験のない自分に加えて友達も少なく知識もなくでどうしようかと考えているととしくんはすでに食べ終わっていた。


まさか自分がこんなんになるなんて。

私はとしくんのことが好きだ。
だけどこれを認めてしまえばまた関係が崩れてしまいそうで怖くて
気づかないフリをした。



それから特に目的がない私たちは町をぶらぶらすることにした。


たまに触れ合う手にどきどき。
たまに合う目にどきどき。

としくんは智代を楽しませようと、
部活の話しや友達の話をしてくれるが、智代はそれどころではなかった。




すると、としくんは智代の手をぎゅっと握って、
「智代の手つかまえとかないとどっか行きそうで怖い」

智代はちらっと横目で秀敏を見た。
すると、さっきまで楽しそうに話していた秀敏がとてもさみしそうな目をしていた。



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