あなたの胸で泣かせて
待ち合わせ場所に行くと秀敏はすでに到着していた。
相変わらず早いなぁ、次は私が早く来てみようと心の中でつぶやいた。
私を見つけた秀敏は、スマホをポケットにしまい、
「行こっか」と手を差し出した。
手をつなぐことにためらいはないものの
距離も近く温もり、もしかしたら心臓の音が聞こえるんじゃないだろうか。
これから私はどれだけドキドキさせられるんだろう。
にしても寝不足で眠たい。
今日ははやく帰ろうとも思った。
家に行く前に飲み物を近くのスーパーで購入していると、たまたまクラスの男子に遭遇してしまった。
智代は、秀敏の手をぱっと放した。
「よう、ヒデ、新川と何やってんの?」
「今から一緒に宿題しようと思って」
「え、お前らそんなに仲良かったっけ?もしかして付き合ってるとか?」
「からかうのやめろよ、こいつびびってんじゃん。
急いでるから、またな」
そういって足早にスーパーをあとにした。
そのやりとりから
智代にはまた黒い心が出てきてしまった。