神様の敷いたレール
1章 死亡動機
意識が朦朧とする中で身体がストンっと急に軽くなる。 

午前4時44分、僕は死んだ。

原因は首吊りでの脳への酸素不足による脳虚血。

僕が自殺を試みたのはこれで3回目だった。
 
苦しんで死ぬのは死んでもごめんだ。
 
だから僕は自殺にいろいろ調べ上げて最初にヘリウムガスによる自殺を選んだ。
 
人間の身体は酸素がとても薄い気体を吸い込んだとき、濃度の関係上肺の中にある酸素が奪われてしまう。
 
 その結果、脳に酸素が行き届かなくなり意識を失う。
 
 そして間もなく呼吸を停止し、そのまま酸素がない状態が続き、約13分で死に至る。
 
 方法は至って簡単で空気の抜いたポリ袋にチューブを入れヘリウムガスを入れる。
 
 後はそのポリ袋を被ってバンドで空気が抜けたり入ったりしないように密閉する。
 
 ポリ袋内の酸素濃度が0%に近いほど一瞬にして気を失うことができる。

 そのまま酸素濃度が低い状態を保てば苦しまずに死ねる。予定だったのが人間の防衛本能とはすごいもので確かに一瞬で気を失うことができたのだが無意識にポリ袋を外してしまっていた。
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