神様の敷いたレール
ふと何かのきっかけで読んだ言葉が頭をよぎる。
 
あれだけプラス思考にならないと冷静に公正に判断すると固く誓ったはずなのに、
もうつらい思いをしないように無知な希望を持たないと心に決めたはずなのに死の直前でさえ・・・・・・いや、直前だからこそ本能的に『人は自分の都合のいいようにしか幻想を抱けない。』、『人は自分の価値観の範囲内でしか解釈ができない。』この2つが全面的に出てしまったのだろう。
 
そう懺悔していると暗闇の中で一点の輝きを放った光が見える

その光から声が聞こえる。

「あなたはまだ死ぬことは許されません。生き返ってあなたのやるべきことをやりなさい。死にたいならばそれに見合うだけの対価を支払いなさい」
 
透き通った綺麗な声だった。
 
その言葉を言い残し、光はまた暗闇の中へと消えていった。
 
気が付くと自殺に使ったロープはちぎれていて床に倒れていた。
 
 「なんだ・・・・・・夢か・・・・・・」
 
 鏡を見ると首には深い首吊りの跡が残っていた。瞳は真っ赤に充血しており顔はうっ血してぱんぱんでアンパンマンみたいだ。
 
 どうせ生き返らせるなら身体も元の状態にしてほしいものだ。これじゃ、対価を支払うところか外に出ることさえままならないじゃないか。
 
 自殺を失敗した僕はさっき見た夢に八つ当たりをした。
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