神様の敷いたレール
そんなことを考えながら階段降りていると上から声を掛けられた。

「水月じゃん、今帰るとこ?」

誰かと振り返ると天宮モモが立っていた。

「ああ、そっちは?」

「私も今、帰るとこ」

モモは同じクラスメイトで俺の後ろの席にいる女の子だ。

小学校からずっといっしょのクラスで席も前後の仲なのに恥ずかしい高校までの間、一言も話したことがなかったのだがある日を境に話をするようになった。

中学校までのモモは男女関係なく人気で常に人に囲まれていていつも中心の輪にいる存在だった。

俺にとっては特に関わりもなくいつも遠くから見ているだけの存在だった。

ただ何気ない笑顔や楽しそうな表情で話す姿、毎日が退屈で消化試合のように日々なんとなくだらだら過ごしている俺にとって自分にないもの持っているモモが眩しく、別次元のような存在に見えていた。

高校では席が近く、グループ行動も一緒にいることが多いためかなぜか知らない間に仲良くなっていた。

モモの名前に相応しい綺麗な桃色の肩までかかるかかからないかの少しくせっ毛のあるセミロングヘアー。

ぱっちりとした二重瞼、すっと通った鼻、若干丸顔気味の整った顔立ちには、まったく化粧っ気が見られない。にもかかわらず、その肌は白く透き通っていて潤いに満ちている。

飾りっ気などまったく見られないが、それがまたモモの持つピュアな可愛さがありありと浮き上がっているようで、むしろ自然体の方がとても魅力的に見える。
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