神様の敷いたレール
モモはてこてこと駆け足で階段を降りてきて隣に並んで一緒に階段を降りだす。

「そう言えば、水月は部活もう決めた?」

「決めた」

「えっ何々?」

モモが興味津々に聞いてくる。

「帰宅部」

何気ない顔でさらっと流す。

「もー、部活じゃないじゃん、バカ。どうするの、締め切りもうすぐだよ」

「わかってるけど、やりたい部活ないんだよなー」

「うまいんだし、バスケ部入ればいいじゃん」

「バスケ部って知ってたんだ」

「そりゃ、知ってるよ。同じ中学校なんだし」

中学校の時、バスケで県選抜のエースで少し名の知れた選手だった。

それでもモモがバスケ部だって知っているとは思わなかった。

それくらい無縁の存在だと思っていたから。

これだから人生は油断できない。

いつ、誰が何を見ているかわからないのだから。

「いや、バスケは飽きたからもうやらない」

「水月って何やっても長続きしない性格っぽいもんね。」

そう言われると何も言い返せない。俺にはどんな状況でもどんな人でもたった『ひとこと』言うだけで乗り越えられる魔法の言葉がある。それは『まあな』だ。

『まあな』この言葉を適切に使わなかった場合、話聞いているのかと罵声を浴びるなど相手を不快にさせてしまうことだろう。
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