SECRET×SECRET
地下鉄に乗ること10分。
いつもと何もかわらない。
俺は家へとただ足を動かしていた。

そんな時だった。
角を曲がろうとしたら、
「キャッ!」

「いてっ!」

誰かにぶつかった。

「ごめん!大丈夫?」

「はい!あ、急いでるので…」

女の子は、慌ててかばんを拾うと、すいませんと一言謝って走っていこうとした。

『待てっ!』

なっ?!シン?いきなり身体変えるなよ!誰かに見られたらどうすんだよ?!

シンは女の子の手を掴んで、顔をじっと見たまま、俺に返事をしてくれなかった。

『奈々…』

それは、少し聞き取りづらい小さな声だった。

「あ…あの。私、奈々じゃなくて志帆なんですけど…」

『…あっ、わりぃ。』

「いえ、それじゃ。」

奈々?
誰だそれ?

女の子は中1か中2って感じで、俺の知り合いではなかった。

なのになんでシンは知ってたんだ?

でも、名前は奈々じゃなくて志帆だろ?

わっけわかんねー…

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