優しい嘘はいらない
朝、目を覚ましたら瞼が腫れぼったい。
当たり前か…
あんなに泣いたのいつ以来だろう?
今日が日曜でよかったよ。
こんな顔で仕事にいけないもんね。
布団の中でゴロゴロしていると、部屋のドアが開いて立っている人物に驚いた。
「えっと…志乃‥おはよう」
「志乃、おはようじゃないわよ。電源切って実家に逃げ込んで何してるの?」
「エヘッ‥」
舌を出して可愛く首を傾げてごまかしたけど、通用する相手じゃなかった。
ドアを閉めて、ベットの端に腰を下ろし怖い表情をして志乃は私を見つめる。
「エヘッじゃない。昨日連絡取れなくてどんなに心配したと思っているの?念のために健ちゃんに連絡しておいてよかったわよ。アパートに帰らないでここに帰ってきた理由は五十嵐さんよね⁈昨日、何があったの?私にも言えないこと?」
「連絡しなかったのは謝る。昨日は1人で答えを出したかったの‥」
「なんの答えよ?」
「…私は五十嵐さんには不釣り合いだってこと」
「はあっ?何言ってるの?誰かがそんなこと言ったの?」
ううんと首を横に振った。
「昨日、偶然、五十嵐さんと綺麗な女の人がいるところを見ちゃったんだ。最初、彼女なんだってショックを受けたんだけど気づいちゃったの」