優しい嘘はいらない

もう、むりむりと小刻みに首を左右に振れば、意地悪い笑みを浮かべる彼にからかわれたのだと怒り、ラッピング袋を投げつけてやる。

でも、痛くもないから意地の悪い笑みは消えない。

「ほら、せっかくのプレゼントを着ないと志乃ちゃんに悪いだろう⁈」

泊まりの準備もしないで連れて来られたから、替えの着替えもないのでありがたく着させてもらうけど、目の前の男の視線が…

「恭平、見ないで…」

「今更‥服を脱がすのも楽しいけど…着させてやるのも楽しそうだよな」

クールなあなたはどこに?
そこにいるのは、どこにでもいるスケベな男だった。

「…そんな恥ずかしいことできないからね」

想像しただけで、羞恥心でめまいを起こしそうだった。

「残念…」

ちっとも残念そうに見えないけど…

彼に背を向けてもらい、急いでブラとショーツを身につける。

かわいいんだけど…ちょっとエロくない⁈

恥ずかしい姿に耐えられなくて、恭平がベッドの上に置いてくれた浴衣に袖を袖を通していると、タイミングを見計らったように振り向いた男は、頬を染めていた。

「……杏奈の浴衣姿、かわいいし、その下着エロい」

もう、この男は本当に恭平なのと疑いたくなる。
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