優しい嘘はいらない
男の変化
彼女は、俺がこんな甘い男だったのかと戸惑っている。
俺だって、自分の変化に戸惑っている。
彼女がいた事はある…だけど、杏奈に接するように今までの彼女達にした事なんてないと断言できる。
鬼畜のように何度も抱いた事もない。
抱いても抱いても抱き足りないなんて、初めてだ。
女に触れたくて仕方ない衝動に駆られるのも初めてで、これも全て杏奈だからだろう…
俺は、よく言えばドライな男。
執着することもなく、来るもの拒まず去る者追わずで女と別れ話をしてきてもなんとも思わなかった。
最近は彼女を作る事も面倒で、気の向いた時に女を抱く方が楽だったのに…
側に置いて、こんなに甘やかしたいと思う女は初めてで、女の為にクリスマスイベントを悩み、あくせく動く俺なんて昔の俺からは想像できない。
それに、彼女の言動に一喜一憂している自分に驚いているし、ガキみたいになる自分に呆れている。
俺ってこんな男だったか?
過去の自分と比べ苦笑せずにはいられない。
彼女と過ごしたこの2日…
心地よい距離に俺の願望は止まらなくて、どんどん欲深くなっていく。
できることなら、一日中彼女を側に置いておきたい。