優しい嘘はいらない
数年ぶりに見たけど、格好良さに大人の色気がでていたなぁ…
どうしてあんなに素敵なんだろう⁈
それに、あの声やばいよ。
今だに耳に甘く残る五十嵐さんの声…
意地悪な事しか言われなかったけど、あの声で愛の言葉を囁かれたら………私ったら、ヤダヤダ、なに⁈ありもしない事を想像してるんだろう…
はぁ〜
って溜息ついてのぼせてる場合じゃないよ。
「志乃…起きてよ」
「……ん〜…もう少し」
「もう少しじゃない。あんた仕事じゃないの?」
ガバッと起きだす志乃。
「何時?」
「8時過ぎだけど…」
「……ここから出勤するからもう少しだけ寝かせて…それから昨日、あの後大変だったんだから、お礼に杏奈の服貸してよね」
「うん、いいよ…んっ、チョ、ちょっと大変って何があったの?」
また、眠りにつこうとする志乃を揺り起こして聞き出そうとした。
「……もう、うるさい。あんたが酔っぱらって歩けなくなるから、五十嵐さん達に頼んでここまで運んでもらったのよ」
……なんだって…?
「五十嵐さんにからむあんたは面白かったけど…まさか、全然覚えてないの?」
志乃は、顔面蒼白になる私をイタイ奴を見るような哀れみの目で見てくる。