優しい嘘はいらない
「……覚えてないよ。私、何したの?教えなさいよ」
はあっ〜と溜息をついた志乃。
「どこまで覚えてるの?」
「……五十嵐さんのブランデーを飲んで…背中をバシバシ叩いた事までは覚えてるけど…その後の記憶が曖昧で……」
「お酒に弱いくせにロックで飲んだんだから仕方ないけど…覚えてないなんて……」
おでこに手を当て志乃はあちゃーとつぶやいていた。
「私、何やらかしたの?」
「…いろいろやらかしてたよ。最初は、子供扱いされた延長で言い合いしてたんだけど…問題はその後ね」
志乃は、ベットから降り隣の部屋に移動しながら話しだした。
私も後を追って隣のリビングへ
冷蔵庫から冷たい水のペットボトルを2本出し、ソファーで胡座をかいている志乃に1本渡してテーブルを挟んで向かいあわせに床に座った。
同じタイミングでキャップを開け、ゴクゴクと渇いた喉を潤していく。
なかなか、その後を話し出さない志乃に苛立ち催促する。
「……で、その後は?」
うーんと唸って回想しだす志乃。
*
『…あんたって性格悪い。勇気を出して告白した女の子に、話した事もないのに俺のどこが好きなの?ってよく言えたね?』