優しい嘘はいらない

「いいじゃん。何拗ねてるのよ」

「よくないわよ。佐藤さんと仲を深めるチャンスをあんたがぶち壊したんでしょうが…」

志乃が凄く怖い形相で睨んでくる。

「……仲を深めるって、つまりそう言う関係になりたかったの?」

恐る恐る聞いてみると

「そうよ。エッチしてあわよくば彼女にしてもらうつもりでいたのに…」

「……いやいや、志乃ちゃん、冷静に考えてごらん。あのイケメンフェイスで彼女がいない訳ないでしょう⁈例えいなくてもあーいうタイプは女の子とは遊びでしか付き合えないと思うよ」

そうよ、あの軽いノリ…遊び慣れているに違いない。

「いいの。それでも…必ず堕とす自信あったんだから…今度会ったら邪魔しないでよね」

ビシッと指を指され、志乃の迫力にコクコクと頷くしかなかった。

「まぁ、いいわ。来週の週末、また飲みに行くわよ」

「……へっ?」

「だから、来週も彼らコンフォルトに行くらしいから会えたら一緒に飲もうねって約束したのよ」

えっ、…

「ちなみに約束したのはあんたよ。五十嵐さんの腕にしがみついて『もう、会えなくなるのヤダ』って駄々こねて離れないんだから…」

えっ、えーーー
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