優しい嘘はいらない
「はぁっ、男遊びって何?出会いを求めたらいけないの?」
すごい剣幕で怒りだした。
もはや、ケンカ越しの志乃を止める術がない。
とりあえず、志乃と五十嵐さんの間に入って2人を離した。
「……出会いね⁈お前は好きな男がいるくせに他の男で満足するのか?」
身長の高い五十嵐さんが、冷ややかに志乃を見つめるとグッと下唇を噛んだ志乃は五十嵐さんを睨み返す。
「……どんなに好きでも思いが通じない人にどうすればいいのよ…女なれしてて大人の女にならないと相手にしてもらえない。たくさんのうちの1人なんて私はいやなの」
その言葉は、私の中にも響いていた。
目の前にいる五十嵐さん。
あなたにとって私の存在はなんなんだろう?
「そんなの知るか。ガキのくせにカッコつけてないで今みたいに言いたい事をそいつに言えよ」
言い方は荒っぽいけど…彼の言いたいことが志乃に伝わったようだ。
黙り込む志乃の目から涙がポロリ。
私は、カバンからハンカチを取り出し志乃の涙を拭いてあげた。
「……急に、明日なんて無理。私の都合もあるの」
「なら、いつならいいんだ?」
「来週の週末なら、杏奈も都合つくよね⁈」