優しい嘘はいらない
まったく、この子は…
振り向かせる自信があるって言ってたと思ったら、簡単にエッチしちゃうし、相手に大勢の女がいるとわかったら忘れようとして無茶なことするわ…忘れられなくてせつない歌を歌って浸りだしたと思っていたら、相手からアクションをおこされ浮かれるわ……、彼のこと本当に好きなんだね。
素直に感情を出せる志乃が羨ましい。
「もう、私まで巻き込んで…来週の予定変更する羽目になったじゃないの」
予定なんてないけど…志乃にまで素直になれないなんて。
「またぁ…五十嵐さんに会える口実出来たでしょう」
このこの…と肘で脇腹を突かれ思い出す。
そういえば、五十嵐さんも来るって言ってたっけ?
「お前も行けよと言われたなら五十嵐さんは来ないよね。でも、お前も来いよと言われたってことは彼も来るんだよね?」
自分自身の答えに自信が持てなくて志乃にも確かめてみる。
「なに不安がってるの?そう言う意味でしょうが…飲み屋で偶然とはいえ会ったって、どうでもいい女にあんな態度取らないよ。少しは脈ありだって…」
志乃なりに励ましてくれてるんだろうけど…ほんの数十分前まで落ち込んでいた人から言われても説得力ないんだけど…