優しい嘘はいらない
もう、ごまかせない…
俺は彼女に聞かせるようにどんどん話を膨らませ進める。
覚悟しろよ。
俺の決意表明のように語った。
彼女が席を立つと、俺は有言実行を開始
予想通り、突っかかってくる彼女に甘い言葉を口に出して、腕に抱きしめる。
腕の中で恥じらい真っ赤になる彼女。
ここが、2人きりの世界なら絶対キスしている。
甘い雰囲気に、このまま好きだと言ってしまいそうになった瞬間、お邪魔な奴が…
彼女を俺の女だという感違いに便乗して、彼女役をさせると嬉しそうにしながらも睨んでくる瞳にゾクっとした。
俺を無視して帰ろうとする彼女の手を掴み、始めて彼女を杏奈と呼んだ。
彼女じゃありませんから…
彼女が捨てゼリフを吐いても、俺は笑う。
今はな…
近いうちに、お前を俺の女にする…
同僚達は、ケンカでもしたのかと慰めてくれる。
追いかけろよとの声に、これ幸いと抜け出すとすぐに、優也と合流。
優也は、女が自分の時のように男とホテルにいくのではないかと心配している様子。
そう言われると俺も心配になる。
そこで、彼女のアパート前で待ち伏せ
何してるんだ?
優也の為だろ…
自問自答しながら待つ時間は苦しくて、
女2人で帰って来た姿にホッとした。