優しい嘘はいらない
うそ…あの時真っ赤になっていたの?
だから、笑っていたの?
思わず、両手で頬を隠したいた。
「クッ…今更隠しても遅いってーの」
あはははと笑い勝ち誇った彼の表情はとても楽しそうだった。
「恭平が、初対面の女の子の前でそんな顔をするなんて初めて見た」
「うるせー、でも、こいつ面白いわ。俺に口答えしてくる女、初めてだよ」
「おっ…それなら楽しく飲めそうだ。ねぇ、杏奈ちゃん⁈」
えっ、私にふるの?
「……楽しみましょうか?」
「なんだ、それ?語尾にクエスチョンマークついてるぞ」
突然、私の頭部を掴み髪をくしゃくしゃにする彼
「……やめてよ。髪型が崩れる」
彼の手を振り払っていた。
一瞬、間があった後、あはははと大笑いする彼
「お前、気に入った」
笑いながら涙目の片目をつむり私に視線を向けながら殺し文句を吐いていた。
今度は自分でもわかるぐらいボッと頬が熱くなり
「……気に入らなくていいから。迷惑」
「いいね…はっきり言う女好きだよ」
更に、頬が熱くなりゆでダコのようになっているに違いない。
「もう、なんなの?この人嫌い」
そんな私達のやり取りを楽しそうに見ている志乃と彼の友達にイラっときていた。