優しい嘘はいらない
「杏奈ちゃんはあまのじゃくなんだ。じゃあ、今までの恭平への態度は好きの裏返しだったんだね。でもさ、酔うと素直になるってことは、杏奈ちゃんに本当のことを言わせる時は飲ませるのが一番いい方法ってことだ」
「だけど、酔っ払った杏奈は手がつけれないから…」
「恭平、大変だね」
志乃と佐藤さんは他人事のように楽しそうだけど…
志乃ちゃん
あなたは誰の味方なの?
さっきまで、佐藤さんの腕の中で恥じらって真っ赤になっていた人物はどこへ行った?
「あまのじゃくなんかじゃありません。どんなに五十嵐さんがかっこよくても、性格最悪な人をぜーたい好きになんかなりません」
笑いながらうんうんと頷く目の前の2人組は声を揃えて
「『そうだね。嫌いなんだもんね』」
「……はい」
力強く返事をした。
「フッ、好きに言ってろ。だが、これで納得した。俺の闘争心を煽った責任はいつかとってもらうから覚悟してろよ」
「納得って…なんのことかわからないけど勝手に自分で煽っておいて、なんで私が責任をとらないといけないの?好きにすればいいじゃない。だけど、私は知りませんから…」
「この減らず口を今に黙らせて、別の言葉を言わせてやる」