優しい嘘はいらない
「そういえば、自己紹介まだだったよね⁈俺は、佐藤 優也…そこにいるのが五十嵐 恭平。俺たち幼馴染みで同級生なんだけど、こいつ見ての通り顔がいいくせに性格に難あってさ…ごめんね…杏奈ちゃん」
申し訳なさそうに爽やかな顔で謝ってくるけど、口元が緩んでますよ佐藤さん。
「いいえ、全然気にしてないです。ねぇ、杏奈」
なぜ、私の気持ちを無視して代弁する。
そもそも、見ているだけでよかったのに…佐藤さんとお近づきになりたいからって私を巻き込まないで。
「あっ、私も自己紹介しますね。杏奈と同級生で宮永 志乃ピチピチの22才でーす」
「…自分でピチピチって言う?2人ともかわいいのに面白いね」
志乃の隣で佐藤さんが涙目になりながら
志乃の言葉に笑いをこらえている。
『「どーも」』
うけた事に嬉しそうに答える志乃と違い、不満声で答える私。
「おれ、志乃ちゃんみたいにノリのいい子好きだよ」
佐藤さんに肩を抱かれ、爽やかな笑顔を向けられた志乃は頬を染め喜んでいる。
うわっ、軽すぎ…
志乃がお持ち帰りされないように連れて帰らなくっちゃ…
私は、使命感のようにグッと拳を作っていた。