優しい嘘はいらない
「優也、お前ガキに手を出すなよ」
なんだと?
今、なんて言った⁈
ガキだと…確かに五十嵐さんから見たら22才なんて子供ですよ。
「お、おい。恭平‥言い過ぎだって」
私の怒りが顔に出ているのか佐藤さんと志乃が慌てる。
「…ガキですって。私達をガキ扱いするなら五十嵐さんはいくつなんですか?」
「28だけど…」
何か?って顔でのぞいてくる。
「……28ってアラサーじゃない。おじさんじゃん…ジジィ」
引っこみがつかなくて、思ってもいない事を口に出していた。
「お、それならお前はちびっ子だ」
「はっ、何それ?」
「その小さな手といい、座高の高さから150ちょっとしかないんだろう⁈だからちびっこだ」
…うっ…くやしい。
確かに身長153センチしかないですよ。子供みたいな手だって気にしてるのに…
「うるさい…ジジィのくせに…」
次の言葉が出てこない。
勝ち誇る五十嵐さん。
むかつく…五十嵐さんがこんな意地悪なんて知らなかったよ。
「よかったね。仲良くなれて…」
「…どこがよ」
志乃をギロッと睨んでやると目をそらした彼女は、佐藤さんに甘えるようにしなだれる。
「杏奈が怒った」