サヨナラも言わずに
【美琴side】
黒瀬は弥生ちゃんに言われて、部屋を出た。
ちょっと……言いすぎたかな?
「さてと。まず美琴、里穂に言うべきことがあるだろ?」
三人になると、弥生ちゃんがそう切り出した。
お母さんに言うべきこと。
「お母さん、心配かけるようなことやってごめんなさい。それに、家も散らかしたりして……」
すると私が言い終えたのと同時に、お母さんは泣き始めた。
ギリギリまで我慢していたのが、今の言葉で我慢しきれなくなったのかな。
「それで?どうするつもり?」
お母さんとまた抱き合っていたら、弥生ちゃんにそう聞かれた。
「なにを?」
「旭だよ。復讐、するんだろ?」
「当たり前」
私は手を離し、弥生ちゃんの目を見て言った。
でも、復讐と言っても、なにをするかはまったく決まってない。
「それ、あたしも協力するよ」
弥生ちゃん……?
仮にも、自分の息子に復讐するってヤツの協力、する?