サヨナラも言わずに

「お母さ……」


「バカ！」



私が声をかけると、それを遮られ、というか、怒鳴られた。



「なんで自殺なんてしようとしたの？心配なんてもんじゃなかったんだからね！お願いだから、もうこんなことしないで……」


「ごめんなさい……」



やりすぎた。


そして、ただの私の思い込みだった。



私に、味方がいない、なんて。


私にはお母さんも、弥生ちゃんもいる。



誰かに味方になってもらうには、私がその人を信じなければダメなんだ。



「わかってくれたらいいの。無事だったんだから」



これからは、お母さんに心配かけないようにしないとな……



「ねえ……お父さんは……？」



お母さんが離れて、私はふと気になったことをくちばしった。



「出てった。もう、あんな人知らない」



出ていった……？


なんで……？


お母さんたち、ケンカでもしたの……？