サヨナラも言わずに

弥生ちゃん、ナイス!


内容は……うん、ほっとこう。



「サプライズ、じゃねーよ、クソババア!」


「親に向かってクソババアって言うな!」


「事実だろーが!」


「じゃあ里穂はどーなのよ!」


「それは……」



黒瀬は口ごもった。


さっきまでの勢いはどこに消えた。



「やった、あたしの勝ち!まだまだだな、クソガキ!」



……どっちがよ。


巻きこまれたお母さんの顔、すごい引きつってるんだけど。



てか、大樹さん、おっとりとしすぎじゃない?


なにも言わずに親子の口喧嘩を見守るって……


まあ、あれは割り込む隙間なんてないか。



「で?なんで沢田がここにいるんだよ」



やっと落ち着いて、みんなで食卓を囲んで、黒瀬がそう切り出した。



「なんでって、退院祝いよ」



弥生ちゃんは寿司を頬張りながら言った。



そんな、ついでみたいな感じで言わなくても。



「わざわざうちでやる必要、あったのか?」
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