サヨナラも言わずに
学校で出した久しぶりの声。
なんだか変な緊張が走る。
「どうして?」
先生はまた背中をさすってくれてて、返してくれる言葉も優しかった。
「私……男子が怖くなりました。さっきも、彼を見ただけでああなったし……」
「………………原因は?」
たっぷりある間は、聞くかどうか迷ったからなのかな。
言いたくないけど、ちゃんと説明したほうがいいよね……
でも、どう言えば……
「わかったわ。また落ち着いたときに話して。担任の先生には私から言っておくから、明日からここに来なさい」
ぐるぐる考えていたら、先生がそう言った。
私はゆっくり首を縦に振った。
「あの、どうして私、保健室に……?」
「旧校舎から叫び声が聞こえてきたから、不思議に思った先生が見に行ったのよ。そしたら、旧校舎の男子トイレであなたが倒れてたを発見して、ここに」
そうだったんだ……
「でも、そこにはあなたしかいなかったらしいの。あなた、どうしてあんなところに?」
「それは……」
やっぱり、なにをどう伝えればいいのかわからなくて、答えられなかった。
「とにかく、今日はもう遅いし帰りなさい。 今親御さんに連絡してくるわね」
「いえ、いいです。歩いて帰ります」
今、家に電話かけても誰もいないし。
「そう……?」
先生は心配そうに私を見つめる。