サヨナラも言わずに

……なにがどうなって、そんな結論に至ったのよ。



あれから電車に乗ったりなんだりで、家に着いたのは三十分後くらい。



「うん、また明日」



まさかこんな言葉を誰かに言う日がくるなんて、思ってもみなかった。



あ、同級にね。


養護教諭の先生には言ってたから。



そもそも、話す人いなかったし……



てか、私が教室に行ってなかったもんね。


言えないよ。



「おう」



黒瀬はそれだけを言い、軽く手を振って帰っていった。



私は黒瀬の後ろ姿を見たすぐあと、家に入った。



まだ若干散らかってはいるものの、足の踏み場はある。


ホント、お母さんには頭が上がらないよ。



あれだけ散らかしたのに怒らないし、片付けまでしてくれてる。



自分がどれだけ愚かだったか、イヤって言うほど実感させられる。



「ただいまー」



重い足取りでリビングに向かう。



「お、美琴!おかえり。早かったな。って、思いきったなぁ!」
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