サヨナラも言わずに

それなのに、あんなことして悪かったな、沢田。



倒れるくらい、辛かったんだろ?



それに気付けなかったとか……


俺、サイテーだよな。



そもそも、お前をいじめる側についた時点でサイテーだよな。



でも、どうしてもお前の後ろの席がよかったんだ。



俺、わがまますぎたな。


俺のせいで、悪かった……



あんなに悪化するとは思わなかったんだ。



助けねぇと、って思っても、お前がなにも言わねぇから……



って、なに言い訳してんだろ。


とにかく、早く謝りてぇから、目、覚ましてくれよ……



保健室に入ると、若い女の先生がいた。


前来たときはいなかったんだけどな。



「美琴ちゃん!?」



どうやら沢田と知り合いらしい。


先生は驚きながら、沢田の名前を口にした。



「すみません、こいつ、気ィ失って……」


「……………………寝かしてあげて」



なんだよ……今の間。


でも、先に沢田をベッドに寝かす。
< 34 / 160 >

この作品をシェア

pagetop