サヨナラも言わずに
次の日、篠宮くんのハンカチを持って学校に行くと、篠宮くんの姿はなかった。
誰かに聞きたかったけど、誰にも聞けなかった。
「えー!篠宮くん、ホントに転校したの!?」
すると、教室の真ん中あたりで女子のそんな声が聞こえてきた。
転校……?
昨日、そんな素振り、一切見せてなかったよね……?
「冗談だと思ったのにー!」
「なんでちゃんと言ってくれなかったのかな?」
「あ、ねえねえ!もしかしてさ……」
すると、さっきまであんなに騒いでたのに、急に静かに話し始めた。
なにか内緒の話でもしてるのかな?
どうやら話が終わったみたいなんだけど、みんな私のほうを睨むかのように、鋭い目で見てきた。
なんか、嫌な予感しかしない……
「あのさ、ちょっと来てくれる?」
放課後になって、髪をツインテールにした気の強そうな女の子が、私を睨みながら言った。
他にも何人かの女子が私を睨んでる。
せっかく可愛い顔してるのに、みんな怖い……
「………………」